訪問販売や強引な営業で契約してしまった場合、契約を解除したいと考えるのではないでしょうか。その場合にはクーリング・オフ制度を利用することで、契約を一方的に解除できる場合があります。しかし、すべてのケースで契約解除が実現するわけではなく、条件や期間が設けられているので注意が必要です。
クーリング・オフとは
クーリング・オフ制度とは、消費者に冷静に考える時間を与えるために、一定の期間内において、契約をなかったことにできる仕組みです。たとえば、訪問販売や電話勧誘販売といった状況では、その場の雰囲気に流され、あせって契約してしまうことも多いでしょう。
契約は本来、必要性があるため契約するものであり、あせって契約したり、詳細をよく把握せずに契約したりすべきではありません。契約の必要性や費用に見合うサービスなのかを、冷静に振り返る時間が必要です。
そのため、クーリング・オフ制度は、消費者が後悔することなく適切に判断するための重要な保護手段です。通常、契約は、一度締結すると守らなければならないのが原則ですが、この制度は例外として位置づけられています。
しかし、この制度が適用されるのは、定められた取引のみで、あらゆる契約に対し、無条件で該当するわけではないことに注意が必要です。
クーリング・オフをするには条件がある
シロアリ駆除のようなサービス契約に対しても、シチュエーションによっては契約を無条件で解除できる制度が適用されることがあります。
とくに、訪問販売や電話での勧誘を受けて契約した場合、この制度が有効となる可能性が高いです。しかし、注意が必要なのは、契約解除できるかどうかには条件があることです。制度を行使できる条件に該当しているか、確認してみましょう。
訪問販売で契約した
訪問販売や電話販売の場合は、基本的にクーリング・オフが適用されます。消費者が求めていないのに、業者が突然自宅などに訪れ、商品やサービスをすすめる状況では、消費者が圧力に負けて契約を結んでしまうことがあるからです。
契約して8日以内
契約解除の意思表示は、契約書が交わされた日を基準として8日以内に行う必要があります。この期間内であれば、消費者は理由を問わず契約を無条件に解除可能です。8日を過ぎていても、契約書面の不備や、業者による圧力、妨害行為があった場合は契約解除できる可能性があります。
書面で伝える
契約を解除する意思表示は、口頭ではなく、必ず書面で行いましょう。書面は、トラブルが起きた際に証拠として使用できるように、配達記録郵便や簡易書留など、記録が残る形で送るのが望ましいです。
契約解除の意思を表明する書類を送った際、消印の日付が契約解除できる期間内であれば、その後業者に書類が届くのが遅くなっても問題ありません。
クーリング・オフの注意点
一方的に契約を解除できる、消費者保護の制度を利用する際には、いくつかの注意点があります。とくに、制度を活用できないケースについては、しっかりと理解しておくことが重要です。
通信販売は適用外
インターネット通販で購入した場合など、自発的に取引した場合には適用されません。営業に押し切られて契約しがちな訪問販売とは状況が異なり、通信販売は消費者自身が自発的に申し込むものであり、考える時間が十分に与えられているためです。
よって、返品やキャンセルは、各業者が定めた返品ポリシーに従う必要があります。とくに特約が記載されていない場合、到着後8日以内に契約解除を意思表示すると返品できるケースもありますが、送料は消費者が負担するのが一般的です。
少額取引および消耗品
3,000円未満の現金取引では、クーリング・オフ制度は適用されません。また、化粧品や健康食品といった指定消耗品についても、使った部分、食べてしまった部分は契約解除の対象外です。
起算日に注意
契約解除できる期間は、契約した日から数え始めるため、契約解除可能な期間が経過したあとで商品が届いた場合は適用されません。このため、契約内容を事前にしっかり確認し、商品がなくても必要に応じて手続きすることが重要です。
値引きに乗らない
業者によっては、クーリング・オフの申し出に対して、値引きや特典を提示してキャンセルを回避しようとする場合があります。これは業者が、不当な取引を少しでも成立させるための手段であり、ケースによっては魅力的に見えるかもしれません。
しかし、こういった値引き交渉に安易に乗らず、商品が本当に必要なのかで判断すべきです。商品やサービスの必要性を第一に考え、契約前にしっかりと検討することが大切です。
まとめ
シロアリ駆除において、クーリング・オフを利用できるかどうかは、契約したシチュエーションや契約からの期間が重要です。訪問販売や強引な営業で契約を結んでしまった場合でも、書面交付日から8日より前であれば解除できます。また、契約文書の不備や制度行使に対する不当な妨害があった場合などは、有効期間を過ぎていても契約解除が可能です。しかし、ネット販売には適用されないなど、注意しなければならないポイントも多いため、契約前に商品の必要性をしっかりと確認したうえで契約を進めることが大切です。